腰が痛い!!ですぐにマッサージや整体を思い浮かべる方が多いと思いますが、はじめに注意しなければならないことがあります。
腰痛の中にも重症な病気の可能性を秘めている要因(リスクファクター)が隠れていることがあります。その重要なサインをRed flags(レッドフラッグス)と言います。
今回の記事はこのRed flagsについて書いて行きたいと思います。
腰痛に隠れている重篤な疾患のサイン”Red flags”とは
Red flagsサイン(以下Red flags)といっても「Red falgs=重篤な疾患」という訳ではありません。単独のRed flagsが重篤な疾患の場合も稀にありますが、複数のRed flagsが存在する場合、重篤な疾患が隠れている可能性があると判断するという医療関係者が注意しなければならない重要事項のことです。
その内容とは
①早急な専門医による対応が必要なサイン
- 膀胱や直腸の障害(オシッコや便の障害)
- 肛門周囲の麻痺や異常な感覚
- 広範な神経症状
- 安静にしていても軽減しない痛み
- どんどん変わって行く神経症状
- 拍動する腹部の塊
腰が痛いといって、上記の内容が1つ・2つあれば直ちに救急車を呼び病院へ行くことを優先してください。
②更なる詳細な病歴聴取が必要なサイン(重篤な疾患が隠れている可能性が高いため詳しくチェックする項目)
- 50歳以上
- 発熱
- 跛行(片足をひいて歩く状態)
- 感染または失血(血液を失った状態)の過去の病気
- 骨粗鬆症
- 悪性腫瘍の過去の病気
- 最近の外傷歴
- 長期間のステロイド使用
- 切り傷や刺し傷などの創傷がなかなか治らない
- 説明のつかない体重の減少
- 悶え苦しむ痛み
単独のサインのみではなく複数のサインから推測するため、3〜4以上当てはまる要件があれば病院で検査を受けることをお勧めします。
このような要件が3〜4個以上重なると単なる腰痛ではなく、他の原因疾患が理由で腰痛の症状を抱いている可能性があるということです。
問診をしっかりと時間をかけて行う整体や接骨院・整骨院をお選びすることをお勧めいたします。
過去の病歴などのRed flagsサインを問診で聞かれないで施術を受けてしまうとどうなるのか?
初診時で2〜3分または10分以内で問診が終わってしまう医療機関は注意した方が良いと思います。
整体院や接骨院・整骨院で問診をおろそかにする治療院は要注意ですので覚えておいても損はしません。
例えば、
午前中に来院。
「ちょっと微熱が続いてるんですが、そんなに熱がないので来ました。ずっと寝ていて腰痛がひどいので治療してください」と問診でおしゃっていました。
問診も2〜3分で検査もなしで施術をはじめてしまいました。
施術後、家に帰り夕方になったあたりに、高熱になり救急車で病院へ搬送されました。
という事例などがあります。
感染症による全身症状が出ていたのにも関わらず施術を行ったため、このような結果になったようです。この際に感染症の原因になったのは歯の治療の箇所が膿んでいたために菌が全身に炎症症状を引き起こしていたというものでした。
考察すると問診時にずっと寝ていた為の腰痛だと思ってしまい、感染からの腰痛の疑いを忘れてしまって施術をしてしまい起こってしまった事象だと思います。
じっくりと問診をして、過去の病歴や現在の治療の有無を詳しく聞くことで、このような結果にはならないと思います。
このような事例は数多くあります。
患者さんの皆さんもRed flagsのサインを知っているだけで、このような問題を回避できるかと思います。
次は腰痛に関わる重篤な疾患をあげて見ます。
腰痛に関わる重篤な疾患とは
red flagsの分類と関連する重篤な疾患の例をあげます。
①専門医による早急な対応が必要なRed flagsに関連する疾患
- 馬尾症候群
- 脊髄症
- 腹部大動脈瘤
②更なる詳細な病歴聴取が必要なRed flagsに関連する疾患
- 脊柱感染
- 悪性腫瘍
- 脊椎圧迫骨折
などの疾患に関わるのが上記にあるRed flagsサインになります。
病名を行ったとしても
一体なんなのかわからないかと思います。
その中でも早急な対応が必要な重篤な疾患を説明させていただきます。
馬尾症候群
簡単に言えば”中心性の腰椎椎間板ヘルニア”です。
馬尾や上位の脊髄が圧迫されると腰痛を伴うことが多いです。
その為、腰部から下の広範の感覚運動障害・尿閉や排便障害、股の感覚麻痺などが起こります。
この症状の最大の問題は尿閉や排便障害の膀胱直腸障害なのです。
対応が遅れると後戻りができない障害が起きてしまうのです。
膀胱直腸障害を生じてから48時間以内に手術加療を行えば改善する可能性が高いため、24時間以内に最初の医療機関を受診することが必要となります。
ポイントとなるのは
腰痛で股の感覚麻痺(サドル麻痺)と膀胱直腸障害があればすぐに病院に行きましょう。
腹部大動脈瘤
腹部にドクンドクンと拍動する塊(腫瘤)がある場合は注意が必要です。
胸腹部に生じた大動脈瘤は腰背部痛・満腹感・便秘などの症状が生じますが、中には無症候のこともしばしばあります。
塊の大きさによって破裂の危険性があり、血圧や心拍数のコントロールをが必要です。塊を無視して運動療法を行い、そのため心拍数や血圧の上昇によって破裂の危険性が高まります。また、徒手療法によって直接圧迫し動脈瘤が破裂したりとリスクがあり、生命にかかわります。
特に喫煙・高血圧・糖尿病・家族歴・女性といった疾患のリスク因子を持っています。女性では子宮筋腫などが大きくなった場合もありますので腫瘤のような塊があるようであれば病院へ早期の専門医受診が必要です。
早めの受診をしていただき、早急な診断をしてもらうことをお勧めします。
まとめ
腰痛の中にも内科的疾患が隠されていることがあります。
重篤な疾患があるかどうかを見極める問診時間を長くとり病歴などを詳しくとる医療機関の受診が必要です。
ほぐすことがメインのリラクゼーションサロンや整体の活用はメリットは体の緊張を緩めリラックスする効果があるため十分に有益な施設ではありますが、医療機関ではないため体の痛みを取り除く場所ではありません。
Red flagsサインを知っていただくことで”腰痛”は単なる症状ではないことがあるということを理解してもらいたいと思います。ただ間違って欲しくないのはRed flagsサインの項目が複数あるからといって、重篤な疾患だと個人的に判断してはいけません。必ず医療機関の診断を受けることをお勧めします。