茅ヶ崎駅南口にあるコクア接骨院の早乙女です。
この記事を読むことで基礎運動力がフルマラソンを走るのに重要なことが分かりやすくなると思います。
この患者さんは初のフルマラソン完走するために練習を行っていましたが、練習の途中で股関節・膝関節を痛めてしまい治療と同時進行で行った運動療法を行なったことで痛みが改善し、目標以上の完走結果がでた患者さんの記事です。
フルマラソンを終えた患者さんの声
先日、湘南国際マラソンが開催され当院の患者さんも出場し無事完走した連絡をいただきました。
湘南国際マラソンを走り完走した中の一人。その中で57歳女性の方が長年の夢のフルマラソンに挑戦し無事完走され、お言葉をいただきました。
Q:何が決め手で当院を受診されましたか?
A:友人より、体のトータルバランスをみて頂ける整骨院と聞き受診しました。
Q:どのような症状にお悩みで当院を受診されましたか?
A:受診時にはどこも痛くはありませんでした。
年内に富士山登山、フルマラソン初出場をひかえていました。本格的にトレーニングを開始する前にトレーニングをやり過ぎると同じ部位(股関節・膝関節)を痛めるので、事前のケアをお願いしようと思い受診しました。
Q:実際に受診されてよかったことを描いてください。
A:なぜ、その部位を痛めるのかをチェックして頂き、痛くならない体づくり、いわゆる人間が産まれ持っている身体に戻す体操、筋肉トレーニングを教えて頂くことができました。
初めは、こんな筋トレが(本当に役に立つのか)と、半信半疑であったのも事実ですが、トレーニング量を増やすと痛みが出ないのです。
富士登山は残念な事に台風で断念しましたが、昨日フルマラソンは痛みを感じる事なく完走することができました。本当にありがとうございました。
お名前: K.O 性別: 女性 年齢: 57歳 住所:茅ヶ崎市 職業:主婦
タイムは
4時間39分39秒
順位は1317位
女性出場者の半数を超えてのタイムでゴールされました。
持病の不安を持ってのフルマラソン出場権獲得
K・Oさんは右股関節と右膝関節が悪く、15キロ以上走ると痛みが出て走れなくなるようでした。
この痛みは以前からの悩みでした。
それは数年前に趣味でマラソンとテニスを行なっていました。
しかし、マラソンをして一定の距離を走ると右股関節と右膝関節が痛くなり、どうにか痛みが出ないようにしたいと思い整形外科を受診したところ
整形外科医:
「年齢も年齢だし、マラソンとテニスの両方の趣味をしていたら股関節も膝関節も痛くなるからどちらか一つの趣味にしたほうがいい」
と言われ数年前にマラソンを諦め、テニスだけを趣味にしていました。
「テニスは友人と楽しくできるし、一人になった時にまたマラソンを始めればいいか!!」と
自分自身に納得させて趣味を一つに絞りました。
しかし、テニスだけの趣味にしたのにもかかわらず、股関節や膝関節の痛みは時々あらわれていたようです。
痛みが現れるその度に治療院や整骨院に通院し、「持病」という股関節痛と膝関節痛と上手く付き合っていくしかないと感じていたそうです。
今年に入り年齢は57歳を迎える2018年、長年の夢の富士山登山とフルマラソン出場の夢を叶えるのは今年がラストチャンスかもと思い、湘南国際マラソンの抽選会に応募したところフルマラソン出場権利を獲得しました。息子さんや娘さんが携帯電話で応募を一斉にし、なんとか抽選が当たり決意を固めたそうです。
ラストチャンスというのは、この先ちかいうちにはお母さんの介護をしなければなりません。また、息子さんのお子さんも今年誕生し初孫ができ時間の余裕やご自身の年齢を考えた上で、夢へのチャレンジは体力的にも今年が最後のチャンスという思いがあったからです。
しかし決意したものの、やはり股関節と膝関節の不安は拭い切れなかったようです。
テニス友達の紹介で来院されました。
K・Oさん
「今は痛みはないですが、持病があって股関節と膝関節が運動をしていくと痛みが出るんです。今年は富士山登山と湘南国際マラソンフルマラソン初出場を考えてこちらに来ました」
コクア接骨院
「K・Oさんの目標は富士山登山を登頂とフルマラソンに出場して棄権せずにゴールすること!が最終目標なんですね??この目標は僕が治療だけで叶えることはできません。一緒にこのゴールを達成するよう計画を立ててやって行きましょう」
K・Oさん
「ぜひお願いいたします。頑張ります!!!」
こうして最終目標の12月2日のフルマラソン完走を目指し始まりました。
ベットの治療だけではないフルマラソンを完走するもう一つ必要な要素とは
ベット上での治療による限界点とは
K・Oさんの持病と言われている股関節と膝関節の痛みは治療することで柔軟性をとりもどし、動きやすくなりベットでの治療後は動いても痛みはありません。
しかし、マラソンの練習後、はじめは15キロで痛みが発症し、整体治療などを行い15キロ未満であれば股関節が硬くなるくらいですんでました。徐々に距離を延ばすことも可能になってきた感じも見受けられたので少し安心していました。
なので、カラダのコンディショニングケアを中心に全身のケアのみを行っていました。
コンディショニングケアの目的は
- 疲労の回復
- 各関節の柔軟性の回復
- 各関節の可動域不全の改善
- 静止状態での良好なバランスの保持
- 重力重心バランス調整
- 回復を早めるミトコンドリアの活性化(ハイチャージNEOという機械を用いて行います)
を目的に行なっていました。
普段はテニスも行なっているし、さらに登山も伊勢原にある大山でのトレーニングもしていて、ある程度のストレッチや筋トレも行なっているという事で、トレーニングの方は大丈夫だと思ってしまっていたのです。
ある日、20キロを走った9月初旬に身体に違和感が起こってしまったのです。
違和感が出て走りが変わってしまったK・Oさん
20キロを目標にキロ9分をベースに走ってもらうよう練習していたのですが、20キロの距離を走ると膝関節や股関節に痛みを少し感じるようになり、それをかばい走りのフォームが崩れてしまいました。
この事があってからはなかなか走る距離を稼ぐことができなくなりました。
治療をして関節可動域や柔軟性は施術後には問題なく痛みはなくなります。
日常生活では問題なくテニスでも問題はない、走ってしまうと違和感が出てしまうということが起こってしまうのです。
「持病」ということもあり弱い箇所をかばいながらの走りは走りのフォーム自体が崩れてしまい動作のエラーを引き起こしてしまいました。脳が身体を守ろうと誤作動を起こし、使わなければならない筋肉を使わないというエラーを引き起こしてしまい、活動できている筋肉が活動を停止している筋肉の代わりに過剰に働かなければならないことになってしまいました。そのため活動しすぎてしまう筋肉が痛みを生じて違和感を引き起こしてしまいます。
この悪循環を改善しなければなりません。
動作を改善するための動作評価S・O・A・P
聖路加国際病院附属クリニックでも採用されている動作評価法S•O•A•Pを用いてK・Oさんの身体の癖や適切に動作が行えているかをチェックしました。
この動作評価法は下記の文献にもあるように小学生の運動能力のテストとしても評価されています。
このような道具を使用して行います。
動作評価からK・Oさんの筋肉の活動が足りないところを意識してエクササイズメニューを組み立てて行きます。
K・OさんはMotor Control障害とMovement障害という動作エラーが起こっていました。
Movement障害とは関節自体の動きが悪いため関節可動域がなくなり動きが悪い状態です。この状態は整体治療などで改善できます。
しかし、
Motor Control障害は自動サブシステムと神経コントロールシステムのエラーによって引き起こされています。簡単に言うと脳(神経)が動作のしかたを忘れてしまっているので身体をうまく動かせない状態になっているのです。
例えば、テニスを高校生時代までがむしゃらにやっていました。その後25年間全くテニスを行わずにいました。現在でも高校生時代と変わらない体重で運動も多少行っています。では、今から高校生の時のようなサーブを打つためにはどうしたらよいでしょうか?
そのようになった時、高校生時代の記憶をたどり動きなどを思い出しながら動かして行くと思います。忘れてしまった動きを思い出しながら再獲得していくと思うんです。
それと全く同じで、身体を守ろうとして忘れてしまった動作を意識を持って正しいフォームで行い、動作を改善させる動きを脳(神経)に教え込まなければならないのです。
自動サブシステムとして働く筋群 |
腹横筋 |
多裂筋 |
横隔膜 |
骨盤底筋 |
忘れた動作を再獲得するCollective(修正)Exercise
collective exerciseは筋肉を鍛えるトレーニングではありません。
動作を改善させるエクササイズを行います。
こういったエクササイズや
このようなエクササイズ行い
忘れた動作を再獲得して行きました。
量より質のエクササイズ。
しっかりとどこを動かして、代償してしまう他の場所を使わないように正しいフォームで行うことを心がけます。
間違った動作を自ら意識して修正するよう声をかけます。決して手を出して動かすことをしてはいけません。自分の意識下で修正するようにしないと、脳(神経)に伝わらないので声をしっかりとかけエクササイズを行ってもらいます。
患者さんの声にもありましたように、
『初めは、こんな筋トレが(本当に役に立つのか)と、半信半疑であったのも事実ですが、トレーニング量を増やすと痛みが出ないのです。』
という感想をいただきました。
足りなかった動きを見つけてそれを修正する。
治療で身体を整え、Collective Exerciseで慢性化とされていた「持病」を改善させるという2通り治療を行うことで49.195キロを走っても痛みの出ない身体に変わることができました。
痛みや不調があるランナーの方はランニングフォームを意識する前にあなた自身の動作評価を行うことが最短の改善方法
足を上げる、手を上げる、身体をひねる、歩き方を見る、など
様々な日常生活の動きがありますが、どこかの関節の動きが悪く他の場所が代償して痛みが出ているということの方がとても多いのです。
痛みが出る、早く走りたいというランナーの方はフォームを改善する前に、自分の身体の動作評価を行った方があなたの理想に近いフォームやスピードを獲得できるかもしれません。
何がいけないのか、何が悪いのか、原因は一体なんなのかを見極めて、怪我をする前や不調になる前に・・・『未病』になる前に改善できることは沢山あります。
整体療法は良いものがたくさんあります。しかし、身体を改善して良い状態をキープするのは日々の動作が決め手となります。動作にエラーがあれば直ぐに痛みが出たり、痛い箇所が変わったり、また身体が硬くなったなど繰り返しの治療院巡りを行うかもしれません。
日々の『動作』の改善があなたを変えるかもしれません。
参考文献
1)Moseley GL&Hodges PW :Reduced variability of postural strategy prevents normalization of motor changes induced by back pain
2)Gray Cook :MOVEMENT-Functional Movement Systems:Screening Assessment and Corrective Strategies
3)Gray Cook :Athletic Body in Balance
4)R-body project:R●ACADEMY Text 第2版
5)R-body project:R●ACADEMY Text 第3版