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3大栄養素の代謝を助けるビタミンB群の特徴と働き

3大栄養素の代謝を助けるビタミンB群

ビタミンB群は

ビタミンB1
ビタミンB2
ビタミンB6
ナイアシン
パントテン酸
ビオチン
ビタミンB12
葉酸

をさします。

 

 

すべて水溶性ビタミンであり、酵素が活性を発揮するのに必要な補酵素として働きます。

ビタミンB群は『代謝ビタミン』と呼ばれ、エネルギーの元であるATPを作るのに欠かせない重要なビタミンです。

ビタミンB群が不足するとミトコンドリアで作られるATP産生が失速した状態となり、細胞はたちまち元気を失ってしまいます。しかし、ビタミンB群を補給してやれば、疲労した細胞は再び活性化し、ATpを作り出すことができます。

 

参照:臨床分子栄養医学研究会

 

このような重要なビタミンB群の特徴と働きをざっと記載しました。

 

 

ビタミンB1(チアミン)

炭水化物を分解してエネルギーを産出したり、神経系の機能を正常に保ち、アルコールを代謝させるのに必要不可欠な栄養素です。水溶性ビタミンであり、チアミンが多く含む食品は豚肉、うなぎ、全粒穀物や種子、木の実、豆類です。

ビタミンB1が不足すると糖質(ブドウ糖)の代謝がうまくいかなくなり、不完全燃焼が起こり乳酸として蓄積されます。これが疲労や筋肉痛、肩こりなどの筋骨格系のトラブルになり、また、全身の倦怠感、めまい、物忘れ、食欲不振などに影響が出てきます。神経系では精神不安定、イライラしたり集中力低下、無気力といった症状が現れます。肝臓や腎臓の機能低下も見られるようになり、胃腸障害の原因にもなります。

ビタミンB1の欠乏の一番の原因は糖質の過剰摂取です。歴史上、江戸時代に江戸で白米が流行りB1不足で脚気が大流行しました。現代の食事も糖質過多で「現代型脚気」が増加中。

 

 

 

ビタミンB2(リボフラビン)

炭水化物や脂質、タンパク質の代謝に必要不可欠です。特に脂質の代謝と深く関わっています。肝臓の酵素の働きを助け、毒素を効率よく解毒するのに特に重要です。

また、「発育のビタミン」や「皮膚のビタミン」と言われ、成長を促進し皮膚や髪、爪などの再生にも関与し粘膜保護作用があり、口内炎、口角炎、目の疲れを予防します。動脈硬化症や老化の原因となる有害物質の過酸化脂質を分解します。

水溶性ビタミンであり、リボフラビンが多く含まれる食品はレバー、うなぎ、魚類、牛乳、小麦胚芽、ブロッコリー、青菜です。

ビタミンB1とともに不足しやすいビタミンです。不足をすると皮膚や粘膜が過敏になり、目の充血や肌荒れ、脂漏性皮膚炎、口内炎、口角炎を引き起こします。また、不足により過酸化脂質が増加すれば整形外科のトラブルにつながる「老化」の影響が大きく現れます。

尿の鮮やかな黄色はB2の影響です。

 

 

 

ビタミンB5(ナイアシン:ニコチン酸・ニコチン酸アミド)

炭水化物を分解してエネルギーを産出したり、タンパク質や脂質、多価不飽和脂肪酸を代謝したり3大栄養素の代謝の補酵素として必要不可欠な栄養素です。特に糖代謝で重要な働きをします。また、アルコールを代謝にも欠かせない栄養素です。

傷ついたDNAの複製・修復にかかわる酵素の補酵素として作用し脳神経の健康や皮膚の発育や消化器系の働きの促進、解毒作用、老化防止作用、血管拡張作用などにも関与します。赤血球やステロイドホルモンの合成にも欠かせない水溶性ビタミンです。

多く含む食品はレバー、鶏肉、カツオ、イワシ、肉類、ピーナッツ、全粒穀物、卵、牛乳などです。

不足すると全身疲労、口内炎などの皮膚粘膜障害や食欲不振、消化不良、下痢などの胃腸障害やうつ状態や幻覚、妄想といった神経症状の一因になります。LDLコレステロールや総コレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げます。

ドーズレスポンスが顕著な栄養素で、上記の欠乏には3mgの摂取で十分ですが、大量3000mgを摂取すると、脳におけるドーパミンを減らしてくれるため、栄養療法では統合失調症の治療に使われます。

また、ビタミンB3は炎症の沈静化に働き、カーフマン(米国)によると、変形性関節症の炎症軽減、関節可動域の改善が報告されています。

 

 

 

パントテン酸

3大栄養素のすべての代謝で、重要な働きをしています。体内でグリコーゲン(糖質)や脂肪酸(脂質)を生成するのに必要不可欠な栄養素です。神経伝達物質やステロイドホルモン、性ホルモン(テストステロン、エストロゲン)の合成にも必要とされています。ビタミンCと同様に、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの合成にも関与し、副腎疲労を回復させる働きがある「抗ストレスビタミン」といえます。ストレスが多い、疲れやすい、風邪をひきやすいなどの症状がある人は十分な摂取が望まれます。

副腎疲労には特に多くのパテント酸が必要です。パントテン酸はミネラル、特にマグネシウムや亜鉛と競合して働きます。

水溶性ビタミンであり、多く含む食品はピーナッツ、レバー、腎臓、卵黄、魚類、全粒穀物、豆類、木の実です。

 

 

 

ビタミンB6(ピリドキシン)

タンパク質の分解や合成に関与し、神経伝達物質やヘモグロビン(赤血球中の酸素の運搬役)を合成したり、糖新生にも関与したり、心臓血管系の健康を増進するのに必要不可欠な栄養素です。

また、細胞の新陳代謝を促進させたり、発育促進や生殖機能の活性化などの働きをし、免疫機能を維持するのに重要です。

水溶性ビタミンであり、B6が多く含まれる食品は、小麦胚芽、種子、鶏肉、羊肉、魚類、卵、バナナ、アボカド、大豆、くるみ、オート麦など。

 

不足をすると、けいれん、うつ状態や低血糖、皮膚疾患、貧血の原因となります。特に、妊娠中のつわりや、月経前後に現れるイライラや落ち込みなどの、女性特有の症状を軽減する働きもあります。

 

ビタミンB6が欠乏する方は多くいると言われています。吸収不良を生じる疾患やアルコール依存、薬剤の使用などが原因で欠乏が起こります。また、体質的にビタミンB6が極端に欠乏する人もいます。

 

ビタミンB6はタンパク質の再合成に重要な補酵素です。食事でとったタンパク質は、いったんアミノ酸に分解されて吸収され、体内で必要な形に再合成されます。筋肉にも骨にも重要なタンパク質の合成がビタミンB6不足でできなくなると様々な疾患になりかねないのです。

 

 

 

葉酸

体内のアミノ酸の代謝に必要な補酵素を運ぶのに必要不可欠な栄養素です。タンパク質や核酸の合成に働いて、細胞の生産や再生を助けます。
ビタミンB12と働く造血ビタミンで、特に成長期の子供や赤血球のように細胞の新陳代謝が激しい場所で必要とされます。また、遺伝情報にかかわるDNAの合成にも関与し、妊娠中の胎児の成長にも欠かせない水溶性ビタミンです。

葉酸が多く含まれる食品はピーナッツ、レバー、腎臓、卵黄、魚類、全粒穀物、豆類、木の実など

不足をすると、貧血の原因や免疫低下、血管系疾患などを引き起こす一因となります。また、妊娠中であれば胎児の先天性疾患の原因や授乳中なら乳児の発育不全を引き起こすことがあります。アルコールは葉酸の代謝障害の原因になります。

 

 

 

ビタミンB12

身体の細胞が効率よく働くのに必要不可欠な栄養素です。

ビタミンB6とともにタンパク質の代謝や葉酸とともに働き赤血球を造血する造血ビタミンです。腸壁、血管の細胞など新陳代謝が新しい細胞には欠かせません。神経系の機能を正常に保つためにも必要不可欠な栄養素です。胃酸が少ないと吸収が低下します。

ビタミンB12の薬は末梢神経障害に使われることが多いですが、栄養療法では赤血球の質の向上や解毒の促進、そして動脈硬化対策に使われます。

水溶性ビタミンであり、B12が多く含まれる栄養素はレバー、カキ、鶏肉、魚類、卵、味噌などの発酵食品など

不足をすると、貧血、記憶力や集中力低下、食欲不振などを起こします。

 

葉酸とビタミンB12の不足で貧血の原因となります。鉄不足によりコラーゲンの合成がうまくいかず、膝や椎間板の修復ができずにいるため痛みが取れないということがあります。

また、悪玉アミノ酸の「ホモシステイン」の血中濃度が上がるとコラーゲンの質が低下します。それを下げる働きをするのが葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12になります。

 

 

 

ビオチン

体内でグリコーゲンや脂肪酸を生成する際に酵素の働きを助けたり、プロスタグランジン(通常の免疫機能に関与する化合物)を生成するのに必要不可欠。皮膚を作る細胞の活性化など皮膚の機能を正常に保つ働きや、粘膜の維持、爪や髪の健康にも深く関わっています。抗炎症物質を生成し、アレルギー症状を緩和する働きがあります。

多く含む食品はレバー、イワシ、卵黄、大豆、全粒穀物、木の実、豆類です。

不足をすると湿疹や皮膚炎、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状や疲れやすくなる、無気力になるといったことがあります。

アトピー性皮膚炎の改善にも効果が期待されています。

 

まとめ

この記事は新たに得た情報をどんどん更新していきますので

よろしくお願いします。

 

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